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アスベストのレベルとは?レベル1〜3の違いと撤去費用をプロが徹底解説

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アスベスト調査や解体工事をする際に「建物にアスベストが含まれているか心配」「アスベストのレベル別の危険性が知りたい」という方も多いのではないでしょうか?結論として、アスベストの危険度は建材の発じん性(飛散のしやすさ)によって大きく変わります。この記事では、レベルごとの差、必要な届出、撤去費用の目安まで総合的に解説していきます。

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アスベストとは?

アスベスト(石綿)は、繊維状の天然鉱物で、極めて細く柔軟でありながら鉄よりも強い特性を持ちます。耐熱性・耐火性・防音性・絶縁性に優れ、さらに安価で扱いやすかったことから、昭和期には多くの建築物で広く使用されました。

特に1950年代〜1990年代初頭に建てられた建物には、屋根材・外壁材・断熱材・床材などさまざまな用途でアスベストが含まれている可能性があります。現在では健康被害が明らかになり、2006年以降は製造・使用が全面禁止されています。

アスベストの特徴

  • 耐熱性が高い
  • 補強効果がある
  • 吸音・断熱性が高い
  • 安価で大量供給が可能

これらの性質から、「奇跡の鉱物」と呼ばれるほど重宝されました。しかし、後に吸入による健康被害が大きな社会問題となり、規制が強化されました。

アスベストが使用されていた主な建材

  • スレート屋根材
  • Pタイル・ビニル床タイル
  • 断熱材(保温材・耐火材)
  • ケイ酸カルシウム板
  • 吹付けアスベスト・吹付けロックウール
  • ボイラー周りの耐火被覆

見た目だけではアスベスト含有の有無を判断できないため、2022年4月以降は「事前調査」が義務化されています。建物の築年数や建材の種類によっては、かなり高い確率で含有しているケースもあるため、専門家による調査が不可欠です。

アスベストが危険とされる理由

アスベストが危険とされる最大の理由は、吸い込んだ石綿繊維が肺の奥深くに入り込み、排出されにくい性質を持つためです。アスベストの繊維は髪の毛の約1/100ほどの細さで、体内に侵入すると数十年もの間、肺組織にとどまり続けます。その結果、長期的な健康被害を引き起こすとされています。

アスベストが人体へ与える主な健康被害

  • 石綿肺(アスベスト肺):肺が硬くなり、呼吸がしにくくなる病気
  • 肺がん:アスベスト繊維の暴露が長期的に続くことで発症リスクが上昇
  • 悪性中皮腫:胸膜や腹膜にできるがん。アスベスト特有の疾病
  • びまん性胸膜肥厚:胸膜が肥厚し、呼吸機能が低下

これらの疾病は潜伏期間が20〜40年と長いことが特徴で、暴露時には症状が出ない点がより深刻です。また、少量でも長期的に吸入することで発症する可能性があるため、早めの対策と適切な撤去が求められます。

アスベストが飛散しやすい状況

アスベストは、建材の種類や状態によって飛散リスクが大きく変わります。

  • 老朽化して建材が劣化している場合
  • 解体・リフォーム時に切断・粉砕が生じる場合
  • 台風・地震などで外壁や屋根が破損した場合
  • 吹付け材(レベル1)が剥き出しになっている場合

普段の生活では飛散しにくい建材(レベル3)でも、切断・撤去時には繊維が空気中に舞いやすくなります。したがって、どのレベルであっても解体工事では専門的な飛散防止策が必要です。

2022年の法改正より対策が義務化

アスベストの危険性が明らかになったことで、日本では2006年にアスベストを含む建材の製造・使用が全面禁止されました。また、2022年の法改正により、解体や改修工事の際は、アスベストの事前調査と結果の報告が義務付けられています

これにより、建築物の所有者や解体業者は、適切な対策を講じる責任が生じます。飛散事故を防ぎ、周辺住民や作業員の安全を守るためにも、厳格な管理が不可欠です。

アスベストのレベル毎の違い

アスベストは発じん性(粉じんの出やすさ)によってレベル1〜3に分類されます。

レベル発じん性特徴
レベル1著しく高い最も危険。吹付け材など
レベル2高い保温材・断熱材
レベル3比較的低いセメント成形板など

レベルが低いほど危険性が低いと誤解されがちですが、解体時には飛散リスクがあるため、どのレベルであっても専門業者による安全対策が必要です。

アスベストレベル1(発じん性が著しく高い)

レベル1は最も危険性が高い区分で、厚い隔離養生と厳格な作業管理が必要です。

代表的な建材

  • 吹付けアスベスト
  • 吹付けロックウール(石綿含有)

使用される箇所

  • 天井裏
  • 梁・柱の耐火被覆
  • 煙突の内張り

必要な対策

  • 作業場所の完全隔離
  • 負圧管理装置の設置
  • 湿潤化作業の徹底
  • 石綿作業主任者の選任

特に負圧管理は義務化されており、粉じんが外へ漏れないように管理します。

アスベストレベル2(発じん性が高い)

レベル2は保温材・断熱材に多く、レベル1ほどではないものの緻密な対応が必要です。

代表的な建材

  • 配管保温材
  • ボイラー断熱材
  • 耐火間仕切りの断熱材

使用される箇所

  • 配管周り
  • 機械室
  • 屋根裏の断熱層

必要な対策

  • 部分的な隔離養生
  • 湿潤化による飛散防止
  • 保護具(防護服・マスク)の着用

レベル2でも飛散リスクは高く、専門業者の作業が原則です。

アスベストレベル3(発じん性が比較的低い)

レベル3は一般的に「非飛散性建材」と呼ばれる区分で、通常の使用状態では粉じんが飛び散りにくいのが特徴です。しかし、切断や解体時には繊維が飛散するため、油断は禁物です。

代表的な建材

  • Pタイル
  • ケイ酸カルシウム板
  • スレート屋根材
  • 窯業系サイディング

必要な対策

  • 湿潤化(散水)による飛散抑制
  • 手作業による慎重な撤去
  • 適切な袋詰めと産廃処理

レベル3は室内リフォームで発見されるケースも多く、一般住宅でも注意が必要です。

アスベストのレベル別撤去費用相場

アスベストの撤去費用は、建材のレベル(飛散性の高さ)によって大きく異なります。レベルが高いほど手間や養生が増え、専門的な作業が求められるため、費用も高くなる傾向にあります。ここではレベル1〜3の費用相場と、その特徴を見ていきます。

レベル費用相場(1㎡あたり)
レベル120,000〜80,000円
レベル210,000〜50,000円
レベル33,000〜8,000円

レベル1の撤去費用(最も高額)

レベル1は発じん性が極めて高い吹付けアスベストが該当し、最も高額になります。作業場所の全体を隔離し、負圧管理装置を使った厳重な環境づくりが必要です。作業者もフル装備で対応するため、機材費・人件費が高くなり、1㎡あたり20,000〜80,000円が目安とされています。

レベル2の撤去費用(中価格帯)

レベル2は保温材・断熱材などが中心で、レベル1ほどではありませんが発じんリスクは依然として高い区分です。部分的な隔離養生や湿潤化が必要になるため、1㎡あたり10,000〜50,000円が一般的です。配管周りや天井裏など狭い場所での作業は、追加費用が発生するケースもあります。

レベル3の撤去費用(比較的安価)

レベル3はPタイルやスレート屋根材などの非飛散性建材が中心で、通常は粉じんが発生しにくいため費用が抑えられます。ただし、切断・破砕が必要な場面では飛散リスクがあるため、湿潤化や慎重な手作業が求められます。費用相場は1㎡あたり3,000〜8,000円と比較的安価です。

なお、実際の費用は建物の構造、面積、作業環境、必要な養生の規模などによって変動します。正確な金額を把握するには、現地調査による見積もりが欠かせません。

アスベスト解体費用を安く抑える方法

アスベスト除去工事はどうしても費用が高くなりがちですが、次のポイントを押さえることで負担を抑えられる可能性があります。ここでは、代表的な3つの方法を解説していきます。

補助金・助成金を活用する

多くの自治体では、アスベスト除去に関する補助金制度が整備されています。対象建材や申請条件は地域によって異なりますが、工事費用の一部を負担してもらえるケースもあります。申請には事前調査や見積書の提出が必要なため、早めの確認が重要です。

複数業者に見積もりを依頼する

アスベスト除去の料金は、業者の施工方法や人件費、工期の考え方によって大きく変わります。そのため、必ず複数の専門業者へ見積もりを依頼し、金額だけでなく作業内容や安全管理体制も比較することが大切です。

アスベスト除去の実績が豊富な業者に依頼する

価格だけで判断すると、かえって追加費用が発生するケースがあります。アスベスト処理の実績が豊富な業者なら、現場の状況を正確に判断できるため、見積もりの精度が高く、後からの追加費用のリスクも低くなります。安全管理や書類作成にも慣れているため、工事がスムーズに進みやすい点もメリットです。

よくある質問

Q1. 自分でアスベストのレベルを判断できますか?

A. 外観だけでは判断できません。必ず専門の分析機関による検査が必要です。

Q2. レベル3なら安全と言えますか?

A. 通常使用では比較的安全ですが、切断・撤去時には飛散するリスクがあります。必ず専門業者に相談しましょう。

まとめ

アスベストのレベルは建材の「飛散しやすさ」を示す重要な指標です。レベル1〜3で必要な対策や費用は大きく異なるため、事前に理解しておくと安心して工事を進められます。

  • レベル1は最も危険で、厳重な隔離と管理が必要
  • レベル2は保温材・断熱材に多く、飛散防止が必須
  • レベル3は通常使用では安全だが、解体時は注意が必要
  • 撤去費用は1㎡あたり3,000〜80,000円と幅広い
  • 補助金や複数見積もりでコストを抑えられる

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Writer この記事を書いた人

菊池 哲也 株式会社ACTIVEの代表取締役

岡山県生まれ、岡山在住。解体工事は年間300件以上、アスベスト調査除去も行う解体工事のプロフェッショナルです。創業から30年以上培ってきた豊富な知識と経験で、迅速かつ安心安全でクオリティの高い施工を行っています。岡山で解体工事のことならお気軽にご相談ください。

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